解体工事を行う上で、工事に携わる作業員や工事完了後の依頼主の安全を確保することは重要なことです。
その安全を確保するために定められた法律が「労働安全衛生法」です。
この労働安全衛生法に基づいて、「石綿障害予防規則」厚生労働省に指示によって定められました。
本記事では、石綿障害予防規則がどんな内容か、またどういった経緯で定められるようになったのかについてまとめていきます。
【石綿障害予防規則】規則の内容について
概念
石綿障害予防規則は、解体工事を行う際や工事完了後に、作業員や依頼主、周辺住民に至るまで石綿(アスベスト)で肺がんといった健康被害が発生するのを防止するために建設(解体工事)業者に定められた規制です。
規制の対策方法
石綿の使用において、大まかに分けて8つの要件が定められています。
まず「事前調査」として、業者は作業を行う前に石綿の使用の有無を調査し、記録しておく必要があります。
そこから、「作業計画」を作成して作業の方法や手順、石綿粉塵のリスク回避の方法をまとめます。
そして、石綿に関する作業を実施する前に、所轄労働基準監督署長に「届出」をする必要があります。
また、これらの作業に取りかかる前に、石綿の有毒性や使用状況等について業者に「特別教育」を行わせ、現場管理のために「作業主任者」を登録することも求められます。
もちろん、作業主任者には作業で使う「保護具等、器具等」に関して、定められた使用方法を遵守させるように指示することも求められます。
作業内容としても、「湿潤化」して石綿を含んだ建材等の解体等の封じ込め、囲い込みをする必要があります。
さらに、石綿作業を行う際は他の作業場所とは「隔離・立入禁止等」の対応を心がけることも大切です。
【石綿障害予防規則】定められた経緯について
石綿が1970年から1990年にかけて大量に輸入されるようになり、今後建築物の老朽化に対応するため、石綿を用いた解体工事が増加されることが予想されています。
そういった現状から、平成17年7月に石綿の取り扱いに関する規則を定める必要があるとして、石綿障害予防規則が定められました。
まとめ
「石綿障害予防規則」がどういった内容で、どういった経緯で制定されたものなのか理解していただけたでしょうか?
建築して何十年も経つ建築物は数多くあり、老朽化に対応するために使われるのが石綿で、その石綿は健康被害を及ぼしかねないために、規制する必要があったんですね。
解体工事を検討されている方は、一度どういった健康被害が懸念されているのか調べてみてもいいかもしれませんね。